昔話(その2)
その昔勤めていた会社は、いわゆるSIerというところで、
そこそこ名の知れた老舗ではあったのだが、
IT業界において老舗というのは地雷要素であり、
これをウリにしている会社は大抵古臭いシステムや思想に囚われてろくな事が起きないものである。
その会社で私はサービス本部とでも呼べばよいだろうか、
要はサポート系の部署に配属されることになった。
そこでは、正社員(プロパー)、契約社員、派遣社員、業務委託、出向社員と
IT業界だとよくある人員構成がなされていた。(もちろんプロパーが一番人数が少なく、人の出入りが激しい)
その中で一際異彩を放つ"姫"と呼ばれるプロパーが存在した。
私の配属先のボスである。
"姫"はよくあるドラマに出てくるキャリアウーマンそのものであり、
見た目もかなり美人というものであった。
(そのためいつしか姫と呼ばれるようになったらしいが、本人もまんざらでもない様子であった)
※イメージとしては加藤 小夏という女優さんにメガネを追加した感じ
しかし、仕事ができる反動か、性格は結構キツめであった。
だがそれが良いという男が多数存在した。
私は、配属早々チームの先輩から姫についての情報を開示された。
若そうに見えるけど実はアラサー(30-34)なこと
- 既婚者であること
あるとき、隣のチームの人(非プロパー、以下Kとする)が、姫に恋をしたとの話を聞いた。
私は仕事の内容的にその人とそれなりに話す立場だったので、酒の場で姫の情報を知る限り
提供した。
若そうに見えるけど実はアラサー(30-34)なこと
- 既婚者であること
- ドSに見えるが実はそうでもないこと
こうしてK氏の恋は終わりを告げた。
時は流れ、4月。またボスのもとに新卒で配属されてきた新入社員が居た。
私は彼に対して"姫"が何歳くらいに見えるか質問したが、真顔で20代という返事が帰ってきたので、
間違いを犯す前に以下の点について情報を開示した。
若そうに見えるけど実はアラフォー(35-39なこと)
- 既婚者であること
- ドSに見えるが実はそうでもないこと
- プリンが好きなこと
こうして新入社員氏の恋は終わりを告げた。
おわり。